法人営業トレーニング

家を買いました。私は賃貸派だったのですが、いろいろと考え方の変化もあり購入に至りました。で、そのときに不動産仲介の営業の方と話していて、営業方法も昔と比べて変わっているなと感じた話です。

私が営業職に就いた15年前、教わったり、営業をしていて学んだ原則的なこととして、以下のようなことがあります(当然、ヒアリングスキルとか企画書の書き方とかクロージング方法とか、細かなスキルはもっとありますが)

1.対面接触を増やして信頼感を増す
2.提案は嘘はつかないが、相手のメリットを最大限にアピール
3.他社に流れないように、クロージングは早く

で、不動産の営業の方と話しながら私の心理状況を考えたりして、これからの営業方法はやっぱり変えていかないとなぁと。自社の営業スタッフの売り方を見ていてもなんとなく思っていたわけですが。いわゆる優秀な営業マンって、自信や説得力があり押しが強いとかのイメージはありますが、おそらく変わっている気がします。

まず、1の対面接触を増やすのはそのとおりですが、そのための手法は大きく変わります。今回も不動産会社の電話には私は出ていなかったのだが、そもそもほとんど電話はかかってきませんでした。で、メールベースで新たな物件の案内があって、久々に物件を見に行くことになったのだが、見てみるとすでに案内された物件だったり(おそらく意図せずに案内していたと思われる)。でもそこで別の物件を案内されて(ニーズに即したものは大前提)、結局その流れで具体的な検討が始まりました。昔のようなアウトバウンドコールでアポイントを取る、そのためのスキルも大切ですが、今は顧客から連絡させる方法や仕組みが必要だなと改めて感じたわけです。

営業としては、電話の方が得られる情報量は格段に多いわけですが、まだ検討状況があまり進んでいない顧客は、自分自身が比較検討して納得したい、という感情を持っています。そこに電話でプッシュするよりも、相手が比較検討しやすい情報を提供して連絡を待つ、という仕組みが大切と思います。

2の提案方法について。最近はサブスクリプションサービスが増えて、カスタマーサクセスチームとかも流行りつつあるようです。販売後の顧客満足をどうやって上げるか、が重要になっているわけです。外資系の某クラウドベンダーは、一定期間の継続があって、初めて営業成績としてカウントされると本で読みました。

で、今回の不動産屋の営業の人も、売っても大きくは評価は変わらないとのことです。また売ったあとの顧客満足度調査を本社でやっていて、それも評価に入るため顧客のためにならないものは売れないと話してました。昨今は、変なものを売ると消費者センターも厳しいとのことです。購買者側もインターネットで比較検討をしやすくなり、企業の評判もネットで広まりやすくなっています。つまり売って終わりでなく、顧客の将来にまで責任を持った提案が必要なのでしょう。

クロージングを早く、という営業の常識も変わっている気がします。この10年でスマホが増えて、顧客はどこにいても気になる商品の比較検討ができて、探せば探すだけ比較対象が増える状況になりました。無理なクロージングをして信頼感を損なうと、顧客は別の選択肢を探すだけです。クロージングはとても大切ですが、相手が迷っているときにこちらの都合ではかけない。それは昔、顧客に情報がないときに通じた手法でしょう。

そうではなく、顧客メリットを最大限にする提案を心がける。その後は相手に納得してもらう時間を与える。ただその過程で信頼を得ることがとても重要。それは会社のブランドもそうだが、営業個人としても大切。顧客が納得して購入を前向きに考えても、その会社や担当営業への信頼が薄いと、やはり選択肢が多い世の中なので他に流れてしまいます。

そう考えると営業マン育成時に説明することは、相手に信頼されるための振る舞い方とか、顧客ニーズに即したサービスつくりや提案力とか、そういうものな気がします。

IT業界のマーケティング市場が成熟し、クライアントの要求が高くなった結果、新人の育成が難しくなっている。少なくとも10年前の私の入社時よりは確実にクライアントの言い分は難しい。で、新人営業の育成プログラムの見直しを行った。

・営業初期は、同行営業も多く、売上がついても自分の実力なのか成長を感じにくい、という話を聞いた。売上は予算有無やクライアントの方針に影響されるため、「課題&BANTを聞けた企業数」「何かしらの提案に繋げた企業数」を増やせるようになる、というゴールを新たに作った。(その後の新人を見ていて、クライアントに対する次のアクションまで考えられる、というのもゴールに追加した)

・こちらからの質問方法、クライアントからのFAQを文書化。従来はつどつど説明していたが、一気に身につけた方がクライアントと話しやすいとスタッフからあり(当たり前か)整理した。

・営業の全体フロー(事前準備~アフターフォローまで)をリスト化して、提案時や提案後にどのようなポイントがあるかを可視化した。提案後のクロージングが進まない場合に状況チェックもできる。

・ヒアリングのロープレを行った。従来はOJT的にヒアリング方法を覚えていたが、客先で不安という声もあってロープレをはじめた。ロープレは奥が深く、優秀な営業マンをクライアント役にすると、フィードバックがハードルの高いものになってしまったりするため、ロープレの目的や、どこまでを習得できているかについての共通認識は大切。

・電話営業の目的を変えた。電話営業は効率が良くないし、どこまでやるべきかを迷っていたが、人に聞いたアドバイスとして、「即応力が身につく」かつ「シンプルにメンタルが鍛えられる」とのこと。電話営業はモチベーションが維持しにくいと思うが、目的や習得スキルの説明をして、割り切ってやってもらうことにした。
(自分自身の経験でもここをやるとクライアントにビビらなくなるという・・)

・新入社員は、商材や営業技術以外の作業など覚えることが多い。それらをリスト化して、未習得の業務はどれか?などがお互いにチェックできるようにした。

・商材も見直して、全体的に値引き判断をしやすくした。メニューが定型化されると慣れた営業は独自の付加価値をつけた提案が難しくなるという側面もあり、いろいろとバランスをとっていくところか。

とまあ、いろいろとやっていて、山本五十六の言葉をふと思い出した。

「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」

まさにこのとおり。同行営業や文書化した内容で説明をして、ロープレやコールを見せつつさせてみて、チェックリストや売上以外の目標設定が進んでいれば褒める、という流れができつつある。山本五十六すごい・・当時何歳だったんだろ。

ちなみにこの言葉には続きがあるらしいです。
「話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず」
「やっている 姿を感謝で 見守って 信頼せねば 人は実らず」

先日、大学のラグビー部だった友人に、「帝京が大学選手権9連覇したけども何がすごいの?」と聞いたところ「監督がすごい」と。その友人曰く「今の帝京の強さは大学の中では突き抜けている」。現在の岩出監督は、20年ほど監督を続けていて、はじめの10年間は苦労しつつもマネジメントを変えてそれから9連覇しているとのこと。

ちょうど NHK BS1 スペシャルで「全員リーダーの組織論~帝京大ラグビー9連覇~」がやっていて見てみた。番組冒頭のナレーションで、主力選手が卒業して入れ替わる学生スポーツで、9連覇がそもそもありえないみたいな内容が流れていた。マネジメントでなんとなく悩んでいることへのヒントが多かった。メモを取りながら見ていて、自身の組織と重ねてみた。

1.チームスローガン「Enjoy & TeamWork」、厳しさを楽しみに変える発想力(文化)を育てる。
→とても納得。営業は結果にフォーカスしがちになるが、大前提として仕事を楽しむ土壌を作る必要がある。あと営業ってどうしても個々の動きになりがちだが、常にお互いが協力できる関係性をどのようにつくるか。

2.脱体育会、新入生は新生活に馴染むことに専念させて雑用は上級生がする。新入生はプレーに集中できる環境をつくる。
→新入社員は覚えることも多いため、まずは彼らが目の前の業務に集中しやすい環境(物理的なものも含む)をどうやってつくるか。

3.コミュニケーションが重要。ボールを使わずに名前だけを呼び合う練習。練習後の3人トークで、上級生からフィードバックする仕組み。
→上級生と下級生が関係なくのびのびとやれる環境が作れると強いと思う。3人トークは、こういう仕組みがあると全体の考えを後輩に説明しやすくなるし、スタッフからの疑問や悩みも引き出しやすくなるし、さらに自分が先輩になったときに自ずと同じことをやってくれるのだと思う。

4.全員がリーダーシップを発揮する。学生自らが、新入生向けの研修をする。部員として知ること、チームスローガン、テーマ、目標などが記載されている。それを全体で理解しあう。個々のリーダーシップを自覚するためにも、指導することが思考の整理に繋がる。
→研修やプレゼンをし合う環境を作っていくことで、おのおののリーダーシップが作れるかもしれない。

5.学生の将来までを考えたマネジメント。大学ラグビーはあくまで通過点。長期(社会に出てから)、中期(在学中)、短期に分けて、社会に出てから役に立つための指導をしていく。
→個人的に印象に残った部分。スタッフに何か説明するときも、意識していきたい部分。

6.コンディション強化。医学部と連携して、体調や食事管理を徹底する。コンディション優先のために夏合宿でも練習量を増やさない。岩出監督曰く、それは指導者の不安解消でしかない、とのこと。
→仕事で考えても、スタッフの体調管理に気を配る。まずは自分自身の体調管理から。スタッフの営業行動量を増やす場合は、そのための根拠を示す。

7.謙虚、自分自身を変える。岩出監督はものすごく謙虚な方らしい。別の記事で読んだが、スポーツの監督は連覇するとメディアの露出も増えて天狗になったりもあるが、そういったことが一切ない方らしい。この番組でも、自分の未熟な点を変えて、選手も組織もまだまだ進化させる、と話していたのが印象的。

岩出監督ははじめの10年間は苦労して、次の10年間で偉業を遂げたらしい。これだけの成果を上げながら謙虚に、自分の未熟なところを変えていく、というのが印象的だった。

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(10/20、岩出監督の組織論やマネジメントについて記事を追加しました)
帝京大学ラグビー部の岩出監督のマネジメントがとにかくすごい
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最近、BtoBマーケティングの文献を読んで感じたこと。我々も自社や顧客の販売について考えさせられてむちゃくちゃ奥深い。組織の多様化が進むと、従来にはない職種や肩書を持つ人がいたりして、ターゲットを絞りにくくなり、今一度、ABMやコンテンツマーケティングと合わせて、顧客がどのように購買するかを考えたい。

MARTECH todayの以下にも、スタートアップやテック企業では業界の動きも関係していろいろな職種が増えているとある。従来の職種ターゲティングは変わっていくのかもしれない。
Call to B2B marketers: Job titles matter more than you think

・そもそも、自社の商材がどのような購買プロセスを経るかを理解する。
→これは自社のサービスの提案時もそうだし、我々のクライアントの先の顧客のことももっと知る必要があるのかもしれない。

・企業内で購買に関与する人々が「購買センター」(というらしい)。その中には課題を見つけて社内提案する人、利用ユーザ、意思決定者、稟議承認者、運用担当者、購買担当者など様々な部門、階層が関係する。
→ABM を考える場合、単に職種、役職での切り方ではないのかもしれない。新興企業は新しい肩書も存在したりして、職種カットとは違うリーチの仕方が必要になるかも。

・意思決定者や利用ユーザはブランド重視、インフルエンサーや運用者は耐久性や価格を重視。それぞれが必要とするコンテンツは異なる。
→おそらくコンテンツはシンプルかつ必要なことが入ることが求められる気がする。

・BtoB企業の営業マンは顧客接点となる。そのため自社のブランドや理念を体現する必要がある。営業担当者の態度がブランドイメージに繋がることを全体で理解して、育成していくことが大切。また営業力を強化するだけでは継続的な成長は難しい。自社のサービス、提供していく情報、サポート体制などの顧客接点の全体で強化を図っていく。
→自分たちのビジョンを作ったら、そこに向けて営業スタイルを変えていく、という一貫性が大切なのだと思った。強く反省・・

・顧客のスイッチング障壁をどうやって高くするか。営業担当者との間で強い信頼関係が結ばれるとそれ自体がスイッチング障壁になるが、それ以外をどうやってつくるか。また信頼関係をつくるためには自社の価値観をしっかりと伝えること。顧客に対する積極的な情報提供も大切。
→ほんこれ。広告はスイッチングコストが低い。顧客に提供すべき情報を組織的に整備して、きちんと説明できるようにナレッジ共有していくこと。こんなことに気づかなくてまた反省・・

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