BtoBあれこれ

昨年からカスタマーサクセス部(以下CS)のマネジメントという貴重な役割を頂いています。CS組織自体はこの2年くらいで作られたようですが、商材はEFOツールなので、導入後はフォームが勝手に動く、よってクライアントが何かすることもなく、そのため導入後の初期説明はするものの、その後は何年もコンタクトを取らないところも多かったみたいです。

「カスタマーサクセス」という組織は作ったが、以前の業務のやり方を引きずっているような、やるべきことが整理されておらず、CSとして何をしたら良いかわからないような、そんな印象を受けていました。


そんな中、ツールの解約率が上がる、要因を知ろうにも顧客の状況がそもそもわかっていないとか、いろいろと問題がでてきたこともあり、CS業務や優先すべきことをメンバーの協力を仰ぎながら整理しているところです。

幸いメンバーは若い人が多く、吸収力もあり、CS業務を変えたりすることに積極的で助かっています。まだ道半ばではありますが、試行錯誤でやっているなかで、そこそこ効果があったことを書いていきます。


1.カスタマーサクセスとしてヘルススコアの把握

私が入ったタイミングで解約が立て続けに発生しました。理由はさまざまでしたが、共通項としてはEFOが入ったページがあまり機能していない、解約クライアントとはコミュニケーション頻度が著しく低い、でした。まずは顧客ごとにツール管理画面へのログイン履歴の把握からはじめました。その後、ログイン有無よりも、EFOのページが一定量の表示があるか否かが重要とわかってきました。そのため全クライアントのツール表示数を一覧化して、数値が極端に低いところを抽出、改善案のためのMTG打診、といったことを行っていきました。


ヘルススコアとして何を見るか、ツールのログイン履歴とかアカウント発行数とかいろいろなやり方があるようですが、EFOツールの場合は動作するページの表示数をみることが良かったと思います。極論ですが、クライアントが管理画面に入っていなくてもEFOページがROI出るだけの表示があれば、顧客は納得するわけです。そのサービスに適した数値で判断するのが良いかと思います。


2.重要クライアントへの能動的コンタクト(+仕組み化)

クライアントと会話するときはクライアントが問合せをしてきたときで、こちらから連絡するという文化はありませんでした。ただそうすると、顧客の使い方や満足度ですとか、サービスへの新たなニーズですとか、ご担当者が何を考えているかとか、そういう情報がわからなくなります。

そのため、まずは重要顧客についてはCSから定期的に連絡することを仕組み化していきました。会話をしてみると、クライアントによってはそもそもEFOツールがどのような効果が出ているかもわかっていないところが散見されました。効果を判断できないまま放置すると、予算見直しのタイミングでチャーンに繋がるため、こういうクライアントを極力減らしていく必要があります。


残念ながらEFOというサービスの性質上、新機能がどんどんつくわけでもなく定期的に顧客に情報提供をするのは難しいです。そのためCSにはやや負担となりますが、Qに一回ほど、クライアントのレポート画面を見て、こちらからレポート数値をレビューするようにしました。これは好評でレポート画面を常に見ている顧客は少なく、30分ていど数字のレビューをして、フォーム改善点を話すことで顧客の信用を得ることができたと思います。


また定期的に情報提供するために、簡単な機能や使い方でも良いので、サービスをマイナーアップデートするようにしています。それにより新機能の使い方として顧客とコンタクト取れますし、会話のなかで新たなニーズや課題を話してくれることが出てきました。むやみにこちらから顧客へ連絡しましょうではなく、コンタクトを取るクライアントを定義して、案内するコンテンツを決めつつ内容をアップデートしていくことで、じょじょに能動的に契約中クライアントへ連絡して会話できるようになりつつあります。当然ですが、各クライアントのレポートを見て、一定の知見をコンスタントに出せるCSメンバーの知見があってこその取り組みでした。


CSの書籍を読むと、情報管理ツールを入れるとか、顧客をランク付けしてテックタッチとハイタッチと分けるとかいろいろと出てきます。ただ弊社のようにそもそもCSとしてこれから進めていくという場合は、まずはヘルススコア把握と能動的コンタクト(そのための仕組み化や成功体験の獲得)からが良いのではと思います。

また余談ですが、特に能動的コンタクトについては、CSとしてのスキルアップやキャリアアップにも確実に繋がります。その時の組織課題やCSをどういう位置づけにしたいかにもよると思いますが、弊社の場合の取り組みをつらつらと書いてみました。

久々にブログを書きます。前職はIT業界でのマーケティング支援を13年間やっていましたが、直近一年間は高級アパレルブランドのEC事業者に従事しています。IT系というtoB商材から、アパレルというtoC商材にうつり、両者のマーケティングの違いが見えてきました。自身の言語化のためにもそれをまとめてみます。

1.ターゲットやユーザーへのアプローチ方法

BtoBはまずはリード獲得がスタートになると思います。もちろん対象企業が広い場合は認知拡大もありますが、リード獲得を起点にするため相手をイメージしながらアプローチしていくことができます。

BtoCは案件単価が安いため、常に不特定多数にリーチしていくことになります。相手がどのようなユーザーかを想像してペルソナを考えながら進めることになります。その商材に対して自分自身がある程度の知識、好意や親しみを持てないと、ターゲットユーザ像の感性的な部分をイメージしにくくて難しいのではと思います。

2.ターゲットへリーチするチャネル

かなり違うと感じる部分です。BtoBの場合はホワイトペーパー、オウンドメディアとSEO、イベント、会員へのメルマガになると思います。デバイスも基本はPCを考えていれば良いです。他にもPaidメディアやソーシャルもありますが限定的でしょう。

一方でBtoCはこのチャネルが多岐にわたります。アパレルの場合ですがInstagram、LINE、アプリプッシュ通知、Youtubeなどの動画活用、デバイスもPC以上にスマホを意識したUIが超重要です。

CVに向けた広告手法も、BtoBでは極論するとメールとリスティングに集約されますが、BtoCでは不特定多数にリーチを広げながら多くのCV獲得が必要になるため、リスティングを中心にショッピング広告、リマケ、Instagramディスプレイ、LINEなど複数の流入方法を組み合わせることが必要です。

3.顧客の購買理由や動機づけ

BtoBの場合は、ターゲットの実績や同規模の競合事例が購買理由の一番と思います。ただし予算化されないと検討が始まらないため、そのタイミングをはかるのが営業やマーケに求められる部分です。

BtoCは個人で完結するために、なぜ買うのか論理的な説明が難しいです。まずはブランドを好きになってもらう必要が出てきます。BtoBと比べるとブランドへの好感度に左右される部分がはるかに大きく、オンライン上で進めることも変わってきます。


4.コンテンツのデザイン性

最もギャップがある部分と思います。BtoBではターゲットにわかりやすく伝えられるか、で済みます。コンテンツの見た目のデザイン性とかは問われることは少ないです。しかしながらBtoCの場合は、ブランドやその担当者が持つ世界観やこだわりみたいなものが入ってきて、同じLP一枚作るのでも泥沼にハマることがあります。toBでもLPの見た目にこだわることはもちろんありますが多くはなくコンテンツの中身や動線のはりかたの方が重要視されるかと思います


以上、思うままにまとめてみました。そもそも私はマーケターではなく営業なのですが、それぞれのマーケティングぽいことを経験してみて、BtoCの方が複雑なのかなという気はします。

市場を見ていてもBtoCのマーケティングツールや手法は、市場の伸びと合わせていろいろなプレーヤーが出てきています。一方でBtoBのマーケティングツールは市場に出てきても、toCのように一気にシェアを取るものは少なく感じます。マーケティング手法もABMとかTHE MODELとか出てきてますが、基本はリード獲得とPC向けコンテンツであり、直近でも大きな変化はありません。
とはいえ、BtoBでも5G回線が増えてじょじょに動画やSPの活用とかが増えて、いろいろな変化は出てくるとは思っています。

以前、「法人営業のデマンドセンター(インサイドセールス)をつくる」というエントリーを書きましたが、その続報です。

セールステック系のセミナーに参加したのですが、進んでいる営業組織は本当に進んでますね。SaaSでサービス提供する会社は、インサイドセールスでアウトバウンドコールとMAで案件つくり→フィールドセールスへパスというところが多い。セミナー登壇者と話すと、その会社のターゲット企業が14,000社あるとのことでした。

ターゲット企業が多くて組織を拡大できる場合、インサイドセールスとフィールドセールスでの取り組みはやりやすい気がします。

一方で自社のサービスや対象顧客数によっては、インサイドセールス組織が本当に必要かを考える必要があると思えてきました。全体でもターゲットが数百社、商材的に顧客数を増やしにくい場合は、インサイドセールスではない気がしてきました。新規顧客の対象が多くなく、休眠顧客を対象にインサイドセールスを始める場合、フィールドセールスに紐付く休眠顧客も多いため、フィールドセールスとインサイドセールスのルールつくりが難しくなります。

というなかで、休眠顧客から定期的に数字を作れているスタッフの話を聞いて気づきました。この優秀な営業マンは何をしているかというと、さほどリレーションが強くない顧客に対しては、定期的にメールで情報を投げています。で、その内容も「こういう参考情報があります」とか「こういう(もちろん適した)キャンペーンがあります」とかの内容です。

自分の顧客に情報提供をして、タッチポイントを作っていくことを「ひとりインサイドセールス」と勝手に名付けてみました。旧来型の営業体制があって、自社にインサイドセールスが機能するかわからない場合、まずはこのやりかたを個々がやると良いのでは?と思っています。

信頼関係ができるまでは、顧客は身構えてしまってアポイントが取りにくくなっている気がします。顧客としてはよほどの情報がないと会う意味がないと思われていて・・

そこで、相手に関係ありそうな情報をメールで案内して、個々でタッチポイントを作っていく、というのが一人インサイドセールス。月一回でも、三ヶ月に一回でも、情報が来るだけで、顧客の中の一定のマインドシェアを取れます。そうすると突然、そういえばあの担当に問合せてみようかな、となるでしょう。

一定数やると案件化率も見えてくるはずで、メールでフォローする顧客をこれだけ増やしましょう、とか、そういうマネジメントもできていくと思います。

この「ひとりインサイドセールス」が浸透してきて、メールフォロー顧客が組織全体で増えてきた、組織全体で効率化したい、という話になった時点で、本当のインサイドセールスを置く、というやり方もあるのではないかなと。まずは営業マン全体に、コミュニケーションが少ない顧客に対して「ひとりインサイドセールス」をやってもらおうか、そんなことを考えています。

海外からの新しいキーワード「セールスイネーブルメント」
私のブログでも過去に2つほどエントリーを書いていて、結構アクセスがあります。


ただ、以下の記事とか見ると数値化して改善して、そのためにSFAを入れましょうとかいろいろあって、結構ハードルが高いと感じてしまいます。


でもセールスイネーブルメントの目的って、教育内容と営業ツールや商材を整理して、短期間で継続的に数字が作れる、そういう営業マンを作れれば良いと思っています。

従来は、営業マン教育は、OJTという名のスキル伝承だったり、ツールの活用や商材の提案の仕方も、営業マンにより好き嫌い(得手不得手)があったりして、やや属人的な部分があったと思います。そうするとどうしても成長速度にばらつきが出たりもします。会社によっては、採用や基本教育は人事部、商材やツールは営業推進、実際に営業を教えるのは営業マネージャーやリーダーだったりで、この場合、配属先の上司により、その後のパフォーマンスに差が出たり、組織に定着しないことも。弊社も昔、ありました。

なので、そういった抽象的な部分を、言語化して、採用基準をつくる、営業初期段階で覚えることや使う営業ツールをまとめる、新人が成長を実感しやすい環境をつくる、営業時にうまくいかない点があれば振り返りやすくする、そうして早期戦力化、定着化を重視する、これが私が考えるセールスイネーブルメントです。

別に営業のステップを数値化してPDCAしなくても、以下をまとめて言語化していけば、セールスイネーブルメントの始めの一歩としては十分ではないか、と思っています。

1.新人が初めに覚えることを整理する、その大まかなスケジュールを提示する、新人が覚えているかを定期的にチェックする
2.営業の業務を整理して言語化していく、徹底的に売れていて真似しやすい営業マンがやっていることをマニュアル化する
3.営業ツールや商材を整理して、どの場面でどれを使うかも言語化する

1があることで、OJT 役の人間とも教えることを共通認識として持てるし、新人の達成度合いを図れます。2,3により、近い将来にやるべき営業活動をイメージしやすくできます。

営業という職種は、経験を積めば積むほど、裁量が大きくなるため属人化しがちなわけで、だからこそセールスイネーブルメント組織が、育成の全体像をつくり、入社初期の段階から普段の営業活動を行いつつ一人前にして、周りの営業マンと同じように動けるようになる、受注率やら
これができれば数値分析などなくても、セールスイネーブルメント組織の役割はできていると思っています。

少し前に知った「セールスイネーブルメント」をアウトプット兼ねて実践してみた。

ルートセールスではない法人営業の場合、見込み顧客に対して継続的にリレーションを構築することが大切です。ただ営業経験が少ないスタッフの場合、バックボーンも理解力も異なります。年齢が若いと知識が少ないため、クライアントに継続して会うことを難しく感じるようです。若いだけで顧客から軽く見られがちだったりもします。といった課題を感じて、弊社の営業の標準的な流れを整理しました。

(余談だが、小規模企業とかで社長や幹部が自ら営業をしている場合、当然、経験も知識も豊富なので、継続したリレーションをつくりやすい。若い女性営業も、最低限の知識やビジネスマナーは必要だろうが、男性担当者に対する継続営業はしやすい。。)

で、弊社の営業の流れに合わせてプロットしたのが、顧客の心理状況と営業ツール。顧客心理は、まあ空想でしかないわけですが、自分が営業を受ける場合とか、同行した際の顧客の対応とかを想像して、顧客はこんな風に考えているぞと、営業未経験がイメージしやすくするためです。初回訪問時やヒアリング時や提案時とか、プロセスごとの心理状況をまとめました。

営業ツールについては、社内にいろいろとある営業資料や実績資料や提案書をどの場面で使うかを、やはりプロセスごとにプロットしました。OJTやロープレ時の説明の場合、継続営業のときにどの段階で何を使うか、本来はスタッフが考えてやれると良いのでしょうが、やはり向き不向きもあるので、整理して、マニュアル化しようという試みです。

あとはマネジメントの反省も。若いスタッフに対して「まずは信頼構築だから、売り込まないで、相手の課題を聞いて宿題をもらおう」と話すと、ニッチな市場への訴求みたいな、どうやっても解決が難しい宿題をもらってくることがたびたびありました。予算規模が大きいクライアントであれば営業のしがいもあるのですが、そうではないクライアントだと、弊社でやると結構な金額になってしまったりして、そこで次の訪問がしにくくなってしまい、本末転倒になるという。。
なので、各プロセスで使うツールを一覧化しておくことで次回アポイントを取りやすくする、結果として継続訪問をしやすくしよう、と考えてみました。

で、各ステップには、次フェーズに進むために必要なアクションも記載しました。顧客心理を変えて、こういう要望を貰えると次のステップに進んだ、ということを、営業スタッフがイメージできるためです。それにより各ステージで「何を聞くか」「どのような話をすべきか」も整理されます。逆に必要なアクションがふめない場合は、次のステップに進めないと考えます。つまずく部分が多い場合は、そのプロセスにフォーカスしたロープレをするなどして、改善も図れます。

本来のセールスイネーブルメントでは、この各ステップを数値化して、KPIとして見ていくらしいです。今回はそこまではできていません。まずは、訪問~クロージングまでの流れ、各プロセスの顧客心理、使用する営業ツールをまとめて一覧化しました。新人の営業スタッフは、弊社の営業を格段にイメージしやすくなったようで、マネジメントとしても今後の育成がしやすくなりそうです。

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