人に聞いた話ですが、海外ではフィールドセールスの優秀な人が、インサイドセールスをマネジメントするとか。前回(ひとりインサイドセールスのススメ)でも書きましたが、ターゲットが無数にあって、社内にあたるべきリードも数千とかあって、商材があるていど定型化されている場合、インサイドセールスはとても効果的だと思います。

企業向けのSaaSサービスの場合、小規模企業もターゲットになるし、継続利用が前提になるので、インサイドセールス組織で案件を作って、フィールドセールスに繋げて、その後の継続利用を促す、そういうインサイドセールス機能と重要性はどんどん大きくなるだろうなと思います。

で、そういう売り方が中心になっていった場合、案件が出てきたらフィールドセールスが提案→受注となるわけですが、そもそものプロダクトが強かったり、無料トライアルができたりすると、フィールドセールスが出ていく時点で購入がほぼ決まっているわけです。顧客は営業に会う時点で7割は決めているとか聞いたことあるし。弊社で使っている某サービスなんて、おそらく国内シェア1位だし、CMもやっていて認知度も高くてサポートもしっかりしていて、一方でうちのカウンターパートの営業の対応は全く大したことなくて、そうなったときに、これからのフィールドセールスの役割ってなんなのか?と、いろいろ妄想してみました。

1.信頼関係の構築、ニーズを顕在化する質問力
2.提案力(理解力、言語化、知識)
3.インサイドセールスで獲得できないアポイントを獲得する
4.既存顧客から紹介を得る

1については、信頼されるからこそ、相手が本音を話してくれて会話の中で相手のインサイトを見つける、という部分は、おそらくインサイドセールスの電話では一歩踏み込むのは難しい気がします。ただ、信頼関係を築くためにどうするか?という部分は言語化しにくく、顧客のための提案をする、約束は守る、ごまかさない、などで醸成される気がします。一昔前の顧客のプライベートとも接点を持つような営業手法もあるかもしれませんし、持って生まれた素養も大きい気もします。あと営業経験年数とか肩書と比例して、相手が感じる部分もあるでしょう。

あと信頼構築のためにも売り込まない。クロージングで煽らない。一度はうまくいくかも知れませんが、あおって顧客が十分に納得せずに受注しても、情報があふれているので、その後に他のより良いサービスを見つけたりして、そうすると満足度も信頼度も下がっていくと思います。

で私の経験上、フィールドセールスとしてクライアントの業界知識はあった方が良いけど、なくても相手への的確な質問ができると、相手に気づきを促してニーズを顕在化できて、相手から頼られます。フィールドセールスは、対面で30分~1時間くらいは相手と話すわけなので、だからこそ踏み込んだ質問と話ができるわけです。

2の提案力は、1で聞いた内容をどのように具体的な提案にするか。相手の理解が第一で、提案に際してわかりやすく言語化して、かつ良い提案にするためにはいろいろな周辺知識も必要です。相手の気づかなかった課題を見つけて、その解決のためにトレンドをおさえた、クライアントの将来を良くする提案ができると理想です。

それで最近思うのが3,4によるアポイントや紹介を獲得する力。これからのフィールドセールスにどんどん必要になる気がします。営業をかけたいターゲットに対して、会ったこともない相手の課題を想像して、メールや電話で簡潔に内容をまとめて興味を持ってもらう能力・・

今後、簡単なアポイントはテクノロジーの進化とインサイドセールスによって定常的に供給されるようになるでしょう。ただ顧客の状況もいろいろあると思っていて、沢山の営業を受けていたり、課題はあるけど何らかの理由でペンディングになっているような会社とか、通常の手法では振り向かない場合、別の方法でアポイントを取る必要があって、それこそがフィールドセールスでないとできない部分だと思います。大手企業の場合の部門展開なんかも、対面している営業マンが信頼関係を武器にやる方が、きっと効率が良いでしょう。

といろいろ書きましたが、ここで書いたフィールドセールスの能力って、AI では絶対に代用が効かないです。で、1-4のうちの2以外は、基本的な心がけでどんどん上手くなるスキルな気がします。教える際にも営業マンの将来を見据えて、フィールドセールスの役割をきちんと言語化して、スタッフに説明していこうと思ったのであります。

以前、「法人営業のデマンドセンター(インサイドセールス)をつくる」というエントリーを書きましたが、その続報です。

セールステック系のセミナーに参加したのですが、進んでいる営業組織は本当に進んでますね。ライセンス単価があまり高くないSaaSでサービス提供する会社は、インサイドセールス組織を作って、アウトバウンドコールとMAで案件つくり→フィールドセールス、というところが多いですね。とあるセミナー登壇者と話すと、その会社のターゲット企業が14,000社あるとのことでした。

ターゲット企業が多く、ゼロベースで新たに営業組織をつくる場合、インサイドセールスとフィールドセールスという仕組みを取り入れるのはやりやすい気がします。

一方でそもそも自社のサービスや対象顧客として、インサイドセールス組織が本当に必要なのか、を考える必要があると思えてきました。今の弊社のように一人あたり数十社の担当で会社全体でもターゲットが数百社、リソース的にむやみに顧客数を増やせない場合、いきなりインサイドセールスではない気がしてきました。

世の中の多くの会社は、既存の営業組織があって、ターゲット顧客数に最適化されているはずです。休眠とか浮いてる顧客が多いからとりあえずインサイドセールスを始める場合、いちおうは顧客がフィールドセールスに紐付いていているので、どこからをインサイドで追うかのルールつくりが難しいです。案件を作って営業に渡して受注や失注したとしても、もともとの購買が年に一回あるか否かなので、その後にフィールドセールスがフォローせずに、結局また休眠顧客になっていることも。。

という感じで、対象顧客がそれほど多くない、顧客をむやみに増やせないという場合、既存の組織との連携が難しいかも知れません。SFAとかのツールを入れて文字どおりシステム的に始める方法もあるかもですが。

とはいえ、営業の無駄な訪問は減らして、効率化したいと思っていて、訪問件数が少ないのに売れているスタッフの話を聞いて気づきました。この優秀な営業マンは何をしているかというと、さほどリレーションが強くない顧客に対しては、定期的にメールで情報を投げています。で、その内容も「こういう参考情報があります」とか「こういう(もちろん適した)キャンペーンがあります」とかの内容です。

自分の顧客に情報提供をして、タッチポイントを作っていくことを「ひとりインサイドセールス」と勝手に名付けてみました。旧来型の営業体制があるし、自社の体制にインサイドセールスという組織が機能するかわからない場合、まずはこのやりかたを、各営業マンに浸透させると良いのでは?と思っています。

ビジネスとは、情報の非対称性で成り立つと言いますが、昔は営業が訪問して情報提供することにそれなりの価値があったわけです。ただ昨今はオンライン上の情報が増えて、成熟産業の場合は顧客も営業マンに会わなくても情報収集ができて、そうすると訪問しての情報提供は難しくなります。

特に信頼関係ができるまでは、顧客は身構えてしまってアポイントが取りにくくなっている気がします。顧客としてはよほどの情報がないと会う意味がないと思われていて・・

そこで、相手に関係ありそうな情報をメールで案内して、薄いタッチポイントを個々で作っていく、というのが一人インサイドセールス。おそらく多くの営業マンは「それはやっているよ」と言う気もします。ただ、実際は顧客の反応がないと案内することを忘れていたり、おそらく定期的にやることが大切で、それが休眠顧客からも案件が出てくる営業マンの技ではないかなと。

月一回でも、三ヶ月に一回でも、情報が来るだけで、顧客の中の一定のマインドシェアを取れます。そうすると突然、そういえばあの担当に問合せてみようかな、となっていく気がします。おそらく一定数やっていくと、顧客規模とかから、どのくらいの案件化率になるかとか見えてくるはずで、だから人によっては、メールでフォローする顧客をこれだけ増やしましょう、とか、そういうマネジメントもできていくと思います。

この「ひとりインサイドセールス」が浸透してきて、メールフォロー顧客が組織全体で増えてきた、組織全体で効率化したい、という話になった時点で、本当のインサイドセールスを置く、というやり方もあるのではないかなと。まずは営業マン全体に、コミュニケーションが少ない顧客に対して無理に訪問するのではなく、「ひとりインサイドセールス」をやってもらおうか、そんなことを考えています。

海外からの新しいキーワード「セールスイネーブルメント」
私のブログでも過去に2つほどエントリーを書いていて、結構アクセスがあります。


ただ、以下の記事とか見ると数値化して改善して、そのためにSFAを入れましょうとかいろいろあって、結構ハードルが高いと感じてしまいます。


でもセールスイネーブルメントの目的って、教育内容と営業ツールや商材を整理して、短期間で継続的に数字が作れる、そういう営業マンを作れれば良いと思っています。

従来は、営業マン教育は、OJTという名のスキル伝承だったり、ツールの活用や商材の提案の仕方も、営業マンにより好き嫌い(得手不得手)があったりして、やや属人的な部分があったと思います。そうするとどうしても成長速度にばらつきが出たりもします。会社によっては、採用や基本教育は人事部、商材やツールは営業推進、実際に営業を教えるのは営業マネージャーやリーダーだったりで、この場合、配属先の上司により、その後のパフォーマンスに差が出たり、組織に定着しないことも。弊社も昔、ありました。

なので、そういった抽象的な部分を、言語化して、採用基準をつくる、営業初期段階で覚えることや使う営業ツールをまとめる、新人が成長を実感しやすい環境をつくる、営業時にうまくいかない点があれば振り返りやすくする、そうして早期戦力化、定着化を重視する、これが私が考えるセールスイネーブルメントです。

別に営業のステップを数値化してPDCAしなくても、以下をまとめて言語化していけば、セールスイネーブルメントの始めの一歩としては十分ではないか、と思っています。

1.新人が初めに覚えることを整理する、その大まかなスケジュールを提示する、新人が覚えているかを定期的にチェックする
2.営業の業務を整理して言語化していく、徹底的に売れていて真似しやすい営業マンがやっていることをマニュアル化する
3.営業ツールや商材を整理して、どの場面でどれを使うかも言語化する

1があることで、OJT 役の人間とも教えることを共通認識として持てるし、新人の達成度合いを図れます。2,3により、近い将来にやるべき営業活動をイメージしやすくできます。

営業という職種は、経験を積めば積むほど、裁量が大きくなるため属人化しがちなわけで、だからこそセールスイネーブルメント組織が、育成の全体像をつくり、入社初期の段階から普段の営業活動を行いつつ一人前にして、周りの営業マンと同じように動けるようになる、受注率やら
これができれば数値分析などなくても、セールスイネーブルメント組織の役割はできていると思っています。

家を買いました。私は賃貸派だったのですが、いろいろと考え方の変化もあり購入に至りました。で、そのときに不動産仲介の営業の方と話していて、営業方法も昔と比べて変わっているなと感じた話です。

私が営業職に就いた15年前、教わったり、営業をしていて学んだ原則的なこととして、以下のようなことがあります(当然、ヒアリングスキルとか企画書の書き方とかクロージング方法とか、細かなスキルはもっとありますが)

1.対面接触を増やして信頼感を増す
2.提案は嘘はつかないが、相手のメリットを最大限にアピール
3.他社に流れないように、クロージングは早く

で、不動産の営業の方と話しながら私の心理状況を考えたりして、これからの営業方法はやっぱり変えていかないとなぁと。自社の営業スタッフの売り方を見ていてもなんとなく思っていたわけですが。いわゆる優秀な営業マンって、自信や説得力があり押しが強いとかのイメージはありますが、おそらく変わっている気がします。

まず、1の対面接触を増やすのはそのとおりですが、そのための手法は大きく変わります。今回も不動産会社の電話には私は出ていなかったのだが、そもそもほとんど電話はかかってきませんでした。で、メールベースで新たな物件の案内があって、久々に物件を見に行くことになったのだが、見てみるとすでに案内された物件だったり(おそらく意図せずに案内していたと思われる)。でもそこで別の物件を案内されて(ニーズに即したものは大前提)、結局その流れで具体的な検討が始まりました。昔のようなアウトバウンドコールでアポイントを取る、そのためのスキルも大切ですが、今は顧客から連絡させる方法や仕組みが必要だなと改めて感じたわけです。

営業としては、電話の方が得られる情報量は格段に多いわけですが、まだ検討状況があまり進んでいない顧客は、自分自身が比較検討して納得したい、という感情を持っています。そこに電話でプッシュするよりも、相手が比較検討しやすい情報を提供して連絡を待つ、という仕組みが大切と思います。

2の提案方法について。最近はサブスクリプションサービスが増えて、カスタマーサクセスチームとかも流行りつつあるようです。販売後の顧客満足をどうやって上げるか、が重要になっているわけです。外資系の某クラウドベンダーは、一定期間の継続があって、初めて営業成績としてカウントされると本で読みました。

で、今回の不動産屋の営業の人も、売っても大きくは評価は変わらないとのことです。また売ったあとの顧客満足度調査を本社でやっていて、それも評価に入るため顧客のためにならないものは売れないと話してました。昨今は、変なものを売ると消費者センターも厳しいとのことです。購買者側もインターネットで比較検討をしやすくなり、企業の評判もネットで広まりやすくなっています。つまり売って終わりでなく、顧客の将来にまで責任を持った提案が必要なのでしょう。

クロージングを早く、という営業の常識も変わっている気がします。この10年でスマホが増えて、顧客はどこにいても気になる商品の比較検討ができて、探せば探すだけ比較対象が増える状況になりました。無理なクロージングをして信頼感を損なうと、顧客は別の選択肢を探すだけです。クロージングはとても大切ですが、相手が迷っているときにこちらの都合ではかけない。それは昔、顧客に情報がないときに通じた手法でしょう。

そうではなく、顧客メリットを最大限にする提案を心がける。その後は相手に納得してもらう時間を与える。ただその過程で信頼を得ることがとても重要。それは会社のブランドもそうだが、営業個人としても大切。顧客が納得して購入を前向きに考えても、その会社や担当営業への信頼が薄いと、やはり選択肢が多い世の中なので他に流れてしまいます。

そう考えると営業マン育成時に説明することは、相手に信頼されるための振る舞い方とか、顧客ニーズに即したサービスつくりや提案力とか、そういうものな気がします。

昔買って、流し読みしていた本書を再読。とても深い。

イノベーションのジレンマにあったような、企業というのは得てして目の前の成果が出やすい部分にフォーカスしがちだが、そうすると市場が変わったときに対応ができなくなる、よって長期的な視点を持つことが大切というようなことを、家庭や個人のキャリアに当てはめて解説している。

我が家のコミュニケーション改善や子育てにも活用できそうし、会社でのマネジメントにも大変に有益な内容と考えさせられた。

・何か問題があったときに、その問題に対して「どうやって考えるか」を教える。それを続けることで、自分の決断を自分でできるようになる

・「動機づけ要因」「衛生要因」。報酬は衛生要因であり、改善すると会社への不満は減るが、仕事に満足するわけではない。やりがい、他社への貢献、評価、自己成長や責任などが動機づけ要因

・普段の生活でも資源配分を意識する。家族の将来に向けた時間、労力、お金の使い方のバランスを取る。日々の生活バランスのなかでその配分を固定化せずに、自分の考えた理想に向けた資源配分がされているかを振り返る

・組織マネジメントにおける「資源」「プロセス」「優先事項」を子どもに対しても考える。子供のための思って「資源」(習い事や遊び道具)を与える。しかしながらどれだけ多くの資源を与えても、将来の困難に対するプロセスが身につくわけではない

・こちらが教えても子どもは学ばない。学ぶ時期が来ると勝手に学ぶ。大切なことは子どもが学ぶ準備ができているときにそばにいること。そして子どもに優先事項や価値観を示すこと。親がやるべきことをアウトソースすればするほど(習い事など)、子供の価値観を養う手助けをする機会を失う

・子どもの将来に必要なスキルを養うための手助けをする。適切な経験を探して与える。仕事で失敗する人は、成功する能力が欠けているのではなく、困難に立ち向かう経験をしていなかった

・組織は文化を生む。強力な文化がある企業は強い。家庭にも文化をつくることはできるし、望まなくても生まれるため、そこにどれだけ積極的に影響を与えようとするか。家族が行う活動について、それが繰り返されたらどうなるかを考えていく

深い、深すぎる。今の組織文化をどうやって変えていくかを考えていたが、子どもの将来のためにも、どういう家庭や家族にするか、そのための価値観や文化つくりをしようかなぁ・・自戒も込めて。

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